SSブログ

職員会議 [少年時代]

「3年1組のT君の処遇について、ご意見を頂きたい」と教頭先生。
児童が帰った学校内は、シーンしていて、職員室に集まった
先生たちは、どうしたらいいものかと考えていた。

静寂を破って若い男の教師が「あの子は、他の子からいじめられています。
どうにか助けてやらないといけないと思います」と発言した。
「いじめ?」と職員全員の怪訝な顔。

教育現場では「いじめ」は繰り返されます。現に僕は、小学校に入学以来
様々ないじめを受けました。ランドセルを隠されたり、小川に突き落とされたり
小柄で、泣き虫な僕は、いじめるにはもってこいのターゲットだったのでしょう。

やり返そうとしても、小さいから力がない。3月生まれを随分恨んだものです。
小学校3年生の時、お風呂に祖母と入っていると、突然に祖母が言いました。
「あんた、これどうしたの?」襟足に毛が生えてなかったのです。

自分では見えない部分ですし、なにか嫌がらせをそこに受けた覚えも無い。
何ヶ月かして、さらに、上に円形の脱毛地帯は点々と広がって行くのです。
もちろん、病院にもいくつも行きました。祖母は、大変だとばかり卵2つか3つ
割って、頭に塗りつけたり、頭を撫ぜながらお経を上げてくれたりしました。

けれど、さっぱり効果はなく、どんどんひどくなるばかりです。放射線の治療も
したと祖母は言っていました。多分、紫外線の間違いだろうけど。
病気の名前は自律神経失調症でした。精神的に弱い部分があったのでしょう。

「それじゃ、どうしたらT君を救えるの?」と担任。
「どうも、こうもないよ。あの子が気が弱いからやられるんだ」と年配の男性教諭。
「気持ちを、しっかり持つように、みんなで声をかけてやりましょう」と1年生の時の担任。
「だめだよ、余計にみんなにからかわれるよ」と隣のクラス担任。

その時、あの校長先生が、「教育は誰のためにやるのでしょう?みなさん、教育は
どんな形があるのでしょう?」と全員に問いかけたそうです。
しばらく、咳払いもなく静まり返る職員室。

そして、校長は言ったのです。「特別な方法はないと思います。あの子に特別な言葉
などは、要らないと思う。雨が地面に染み込む様に教育はあるべきです」と。
担任は、皆さんに時間を取らせたことを謝りながら、特別ではない方法を考えようと
思ったそうです。

あの時、学校にいた全ての先生が、たった一人の僕のことについて、話し合い、どうにか
しようとしていたことを、実習生になった自分は聞かされて、びっくりはました。
実に3年間にも及ぶいじめ対策です。今の先生方にはできますかね?
4年生の時の事件後の対応も納得できるところです。

5年生の1学期、担任の女先生は、「国語の時間の初めに5分間漢字テストをします」と言いました。
たまたまだけど、その時に僕は100点を取りました。小学校1年生からの漢字のテストです。
100点取れて当たり前なんだけど、それが嬉しくて、次も次も100点満点を目指して勉強しました。
みごと、全ての回のテストを100点取りました。

自信をつけた僕は、他の教科も頑張りました。成績はみるみるうちに良くなり、通信簿は1と2と
たまに3しかなかったのに、4と5ばかりの通信簿になりました。

そうです、特別でない方法が当たったのです。
僕にはどんぴしゃだった。いじめはとっくに、無くなっていました。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

事件その1今日から運動開始 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。